平成25年6月31日付で作成された自筆証書遺言は有効でしょうか?
ご存じのように、自筆証書遺言の方式は、厳格に定められており、遺言の全文、日付、署名を遺言者が自署しなければなりません(民法968条)。 特に、日付については、遺言書が複数存在することもあり、同一の事柄について異なった遺言がある場合には後の遺言が最終の意思とされ、前の遺言は後の遺言によって撤回されたことになりますし、また、遺言がなされた日付で遺言者の意思能力の有無が判断されることもありますので、日付の記載を欠く自筆証書遺言は無効とされています。
しかし、形式的に要式を欠けば全て無効になるかといえば、必ずしもそうではなく、遺言の解釈においては、遺言の文言を形式的に判断するだけでなく、遺言者の真意を探求し、その真意に沿った内容でできるだけ有効に解釈するものとされています(最高裁平成5年1月19日判決等)。
このような観点からすると、「平成25年6月31日」という日時は、現実には存在しませんが、遺言者の真意としては、平成25年6月最後の日」すなわり「平成25年6月30日」であると推察されます。したがって、遺言書の日付は特定できることになり、このような遺言も有効となります。同じように、「平成25年誕生日」や「65歳の誕生日に」という記載でも有効であるとされています。
これに対して、「平成25年6月吉日」では、日付が特定ができないため、無効になります。