生命保険金は相続財産か?
生命保険金が相続財産となるかどうかは、受取人として誰だ指定されているかによって異なります。
(1) 保険金の受取人として「特定の者」が指定されている場合
この場合には、生命保険金は、相続財産に含まれません。なぜなら、保険金は受取人と指定された者が保険契約に基づく固有の権利として取得するものだからです。すなわち、受取人は、被保険者の死亡によって、決められた保険金を自己の固有の権利として受け取ることになりますから、相続による取得ではないのです。
(2) 保険金受取人が「法定相続人」と指定されている場合
この場合、生命保険金は相続財産に含まれないとされています。もっとも、法定相続人が複数いるときは、その割合は法定相続分に応じて分割されるので(最高裁判所平成6年7月18日判決)、結果的には相続財産と同じような扱いになるでしょう。
(3) 保険金受取人が被相続人自身となっている場合
この場合には、以前は、当然相続財産になるという考え方が有力でしたが、最近では他の場合との均衡から、相続財産ではないと考える見解が有力です(判例はないようです)。なお、東京家庭裁判所の遺産分割調停においては、この場合の生命保険金については、遺産の範囲に含めるという合意をとって、遺産分割の対象にするという運用をしているようです。
(4) 保険金受取人の指定がない場合
この場合には、保険約款の規定に従います。通常は「保険金受取人の指定のないときは、被保険者の相続人に支払います」と規定されていますので、(2)と同様の扱いになります(最高裁判所昭和48年6月29日判決)。