特別受益の対象となるかどうかについて問題となるケースをいくつか紹介したいと思います。
◆婚姻又は養子縁組のための贈与
(1)持参金・支度金
最近ではあまり見られませんが、一般的には特別受益になるとされています。但し、金額が少額であったり、被相続人の資産及び生活状況に照らして扶養の一部であると認められる場合には、特別受益にならないと考えられます。
(2)結納金
結納金は、通常は親の社交上の儀礼としての出費と考えられているので、一般的には特別受益にならないとされています。
(3)挙式費用・新婚旅行の費用
これらについても、通常は遺産の前渡しはいえないので、特別受益に該当しないと考えられます。
◆生計の資本としての贈与
(1)祝い金
新築祝い、入学祝い、出産祝い等については、親子の儀礼的な意味合いが強いので、特別受益にあたらないと考えられます。
(2)債務の肩代わり
被相続人が債務を肩代わりした場合には、求償権(肩代わりした分を返せという請求権)が共同相続人に承継されますので、負債額がある程度高額であるか、被相続人が求償権を放棄したと認められる事情があるかが、特別受益に該当するか否かの判断基準になります。