民法は、寄与分制度によって利益を受けることができる者を相続人に限っています(904条の2第1項)。
その理由は、相続人以外の者について寄与分を認めると、遺産分割の際にそのような寄与者がいないかを調べる必要が生じ、遺産分割を遅らせる原因になるし、仮に寄与分の認めなくても、相続人以外の寄与者については何らかの契約上の権利や不当利得返還請求権が認められることが多いことにあるとされています。
それでは、相続人以外の寄与が、遺産分割において全く考慮されないかというと、必ずしもそうではなく、その寄与が相続人の寄与と同視できるような場合には、当該相続人の自身の寄与とみなして、当該相続人の寄与分として主張することができるとされています(東京高裁平成元年12月28日決定(家裁月報42巻8号45頁)。
例えば、(1)相続人の長男が、相続人と共に被相続人の家業に無報酬で従事し、財産の維持増加に特別な貢献をした場合 (2)会社員である相続人に代わって、その妻が家業である農業に無報酬で従事し、財産の維持増加に特別な貢献をした場合 などは、相続人の長男又は妻の貢献を、相続人自身の貢献とみなして、相続人の寄与分として主張することは可能であると考えられます。